里山を蘇らせよう

里山の再生を目指して、絆の森整備事業“森林(もり)つくり、道つくり”を主催している、西朴木(にしほうのき)地区のリーダー、正木良雄(まさきよしお)さん。1)この絆の森の活動は、国・県・市の補助を受け、ボランティアとして森林の手入れが行われている。その呼びかけに市内外からたくさんの方々が参加し、里山を蘇らせようと取り組んでいる。

正木さんと森林との出会い

「10年前に定年を迎え、都会から妻の故郷である氷見に帰って来ました。僕は、生まれは北海道で、婿なんですよ。」と笑う正木さんだが、もうすっかり氷見に馴染んでいるようである。

「義母の介護をしながら、自分はこれから何をしようかと考えているうちに、以前から親しんでいた森林に携わるようになりました。義母は、林業で生計をたてていて、よく表彰もされました。僕は、4年前に、チェンソーや草刈機が使えるようにと、森林サポーターの養成講座を受講したんですよ。それから毎年、春先から秋にかけて、県内の森林整備に参加しています。」
長年、都会で働き、定年後は自然の恵みに囲まれた氷見で楽しく過ごしている正木さん。2)まさに、田舎暮らしを満喫といったところ。

「氷見に帰ってきた時、自宅の裏山がジャングル状態でね。どうしたものかと、仏生寺の林業家、中田市郎さんに相談にのっていただきました。それから“とやまの木で家をつくる会”や“とやまエコひろば”の活動で、裏山を使ってもらったことがきっかけで、絆の森整備事業につながっていきました。」

氷見では、海からのサポートもあり、『やまとまち、うみをつなぐ』活動として、漁業関係の方々も森林整備を行っている。今年2005年は、山からの活動と海からの活動が一緒に行われ、大いに盛り上がった。3)海もよし山もよし、の氷見である。

山の幸いっぱい

正木さんの自宅の前庭でいただいたのは、所近の沢村さんが山で育てたナメタケにヒラタケ4)正木さんの裏庭で採れた、ナメコ5)が入ったきのこづくしのお味噌汁。そして、ムカゴ(山芋の葉の付け根にできる小指の頭ほどの球芽)のおこわに、炭焼きのバーベキュー。6)などなど、山の幸が盛りだくさん。素朴な味がなんとも言えない至福のひととき〜。ごちそう様でした!!

「お神輿」 修復物語

更に驚いたことに、正木さんのお宅の中にデーンと置かれてあるのは、本物の『お神輿』。7)「ど、どうして、家の中にお神輿が??それも、丁寧に分解までされて??」と興奮気味の私たちに、
「西朴木地区のお神輿なんですよ。本格的に修復してもらうと数百万円かかると言われてね。それなら、自分で何とかできないかと思って・・・。」8)とのこと。何ともスゴイ!!正木さんはお神輿に関しては、まったくの素人である。
「お神輿に、明和8年と書かれてあるんですよ。今から200年前だよ。いや、もう、びっくりしてね。ますます、何とか残せたらと思っているんですよ。しかし、残念なことに修復しても、この地区には、担ぐ勢いのある人がほとんどいない状態で、獅子舞もあったが20年誰もやっていない。お神輿も70年担いでいないとか。今、90歳の人が1度だけ担いだ記憶があるだけなんですよ。」と、寂しそうに語る正木さん。それでも、正木さんの挑戦はまだまだ続く!!(お神輿完成のあかつきには、担ぎに行きますよ――。)
「自分でできない部分は、いろいろな方々に協力していただいています。僕は、人に頼むのが得意なんですよ。いたずらして楽しんでるだけなんですよ。」とご本人は謙遜しているが、お話しを伺う限りでは「いたずら」の域をはるかに超えている。

裏山を遊び場に

「そのうち、山の中に道をつけて、ツリーハウスなんか作って遊び場にできたらいいなあと思っているんですがね。9)里山は人が入らないとだめになってしまう。木が育つには、長い年月がかかります。皆さんのおかげで、明るい光が差し込みずいぶんときれいな森になってきました。どんどん遊びに来てください。」と正木さんは言う。10)
秋も深まったこの日は、ちょうど雨模様。11)それがかえって、緑をしっとりとさせ、空気をいっそうおいしくしているように感じた。少しずつ紅葉も始まり、それもまた見事である。12)春、夏、秋、冬と、季節ごとにかわる景色をまた見せていただこう。

2005年11月7日(月)取材
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